第一筑波隊 末吉實中尉
末吉實中尉は、昭和18年9月、浜松高等工業学校を繰り上げ卒業し、同月海軍飛行予備学生となり、土浦海軍航空隊で基礎教程、さらに谷田部空、元山空に配属になり練習機、実用機教程の訓練を受け、19年8月から筑波海軍航空隊附兼教官となりました。20年4月6日、神風特別攻撃隊第一筑波隊員として、鹿屋基地を発進し、沖縄周辺の米輸送船団に突入し、散華しました。同日付で海軍少佐、従六位、功三級金鶏勲章、勲五等雙光旭日章を贈られました。
【末吉實中尉の遺書】
突然でさぞ驚きの事と存じますが兪々私も身を以て国難に当たる時が参りました。只今本隊より懐かしい名古屋を右に見て、この鈴鹿空に到着、愛機即ち棺桶の中でこれを書いて居ります。思えば二十有五年間の筆舌に尽くせざる御慈愛と御苦労に何等報ゆる処なく親不孝の数々。誠に何と御詫びしてよいやら、一人涙がにじむのみです。御陰様にて私も他より先に中尉に進級致し、只今では神風特攻隊第二筑波隊隊長として同期の桜を率いて敵空母に体当たりする機会を得ました。男子の本懐これに過ぐるものはありません。必ず兄上の仇は引き受けました。明日の戦果を御期待下さい。出撃数日前に家の焼失を知りました。うち続く打撃でさぞ御落胆なさる事と存じますが、何卒お力落としのない様近所の人達と協力、復興にお努め下さる様お願い致します。何事も気の持ち様ですからしっかりした気持ちで天寿を完うされん事を最後迄祈って居ります。ではそろそろ転進の時間が来ましたのでこれで失礼致します。 不一
昭和20年4月5日 午後2時
實 拝
御両親様
只今より必至必殺の攻撃に征く。心の平静たるや本日の空の如し。白木の箱の整備なる。いざ征かん南の空へ。
吾が予定突入時刻
昭和20年4月6日 1700